
カナダと日本の在宅医療のスケールの違いがわかったと思います。
カナダの医療は州政府によって行われていてます。保健機構は急性期病院、長期療養型施設、在宅医療など全てを行なっています。これが大きなスケールを可能にさせます。必要な部署を作り必要な人員配置をする。統一されたケアも作りやすいのです。
このシリーズの始めに私がホスピス緩和ケアで働いていた時はBC州の緩和ケアの転換期でした、と書きました。在宅での死を支えるためのシステム作りが必要と立ち上がった緩和ケアのCNSたち。同じ大学院卒業の先輩CNSが中心となりデザインをして作り上げたものです。
私が働いていた保健機構で始まり、BC州の全ての保健機構に広まり、そしてカナダ全土へ広がりました。先に述べたCNSは連邦政府から功労賞を受賞したほどです。もちろん緩和医との協働や大学側の協働もありました。しかし原動力が看護師って凄くないですか? そのCNSを中心に各地の緩和ケアCNSが協力していてキラキラスターみたいで、ホントカッコよかった。実はそれに憧れて大学院行きを決めたくらいですから(正確にはそのCNSに背中を押されて決めた)。
疾病だけではない。在宅という生活の物質と人的資源を理解できる職種ならではの偉業だと思っていました。
残念ながら日本のものは開業医や訪問看護ステーションに丸投げ。俯瞰的な視点から全体像を理解してデザインできる資源が限られていて、その上診療報酬で振子のように変わるケア。しかし「何とかしたい」と言う医療者の情熱で持っているような状態。医療職の安全の保障もなく、現に被害を受けて死亡する人もいるぐらい。医師に課せられる業務は多く、働きすぎ改革はどこ吹く風。医療職の犠牲の上に成り立っている。
何度も書いていますが、日本の医療は病院を中心に発展してきました。しかし他国では随分前からこれでは継続が難しいと予防医療や在宅医療の充実を図ってきました。その出遅れが日本にある。その上にあるのが世界で類のない人口減少と加速する高齢化。この状況にも、その場しのぎの政策で対応しようとする政府の姿。
しわ寄せは国民と現場で働いている医療者に寄せられています。目先のことよりも未来へ。一部の有権者のための政治ではなく国民の為の政治を。根本的な改革が必要だと外から見ていて感じます。
シリーズ終わり